こんにちは。
リトリートヴィラ、スタッフOです。
「すっかり観光客を見なくなったね」なんて話をよく聞きます。
私の場合はGO TOで一時的に回復傾向にあった昨年10月に沖縄入りしましたが、再度感染者数が増え始めてしまったため、観光客でにぎわう南城市を未だ見ていません。
個人的には、どこへ行っても人が少ないので、ステキな景色もあいまって心穏やかに過ごせています。
だけどこういうステキな環境だからこそ、たくさんの人にシェアしたいし、ヴィラにもたくさんお客さんが来てほしいなと願う今日このごろです。
さてさて、今回は「南城市のグスク」についての話題です。
そもそも「グスク」というものをご存じの方はどれほどいるんでしょうか。
私は「グスク」という言葉こそ聞いたことがあれど、グスクそのものについては無知も無知でした。
「城」と書いて「グスク」と読むこと、その「グスク」が沖縄県内には多いこと……くらいしか知りません。
たぶんなにかのお城がたくさんあったんだな……程度の認識です。
おそらく、沖縄県民でもなければ「なんとなく知ってる……」くらいの人が大半ではないでしょうか。
そもそもグスクってなんだろう?
沖縄の観光マップを見ていると、「〇〇グスク」ってよく見かけます。
特に南城市は「〇〇グスク」が多いです。
あと県内の地名なんかもそうですが、豊見城市、中城村、北中城村なんて地名もそれぞれ「グスク」が付きますよね。
地名になるくらい、沖縄には「グスク」という言葉が溶け込んでいると言えそうです。
ですが!
一方で、この「グスク」を目的に訪れる観光客はおそらくほとんどいないのではないでしょうか。
どうしても沖縄観光で目立つのはマリンレジャーや食事ですもんね。
私の場合は「グスク」って何やら聖地っぽいイメージもあって、気軽に近づいて良いのか悪いのかもよくわからずにいました。
だけど、道を歩けば「グスク」の場所を示す看板もよく見かけるし、中には観光地化されている「グスク」なんかもあります。首里城なんかがそうらしいです。
……とまぁ、こんな具合で、私の上辺の知識だけで「グスク」を考えてもまるでよくわかりません。笑
ヴィラの仕事を通じて「グスク」の多い南城市に住んだのも何かの縁。
少し「グスク」について調べてみました。
グスクとは
南城市のグスクが多く紹介されている書籍『沖縄の名城を歩く』(吉川弘文館)によれば、
①グスクの外観は
- 沖縄のグスクは日本本土の城(城)とは大きくその様相を異にする。
- 大型グスクの主郭には中国風の宮殿建築と儀式を行う広場空間が配置され、日本の城のイメージと大きくかけ離れた姿をしている。
とのこと。
②グスクの成り立ちは
- 琉球列島の自然環境も大きく関係している。
- サンゴ礁が形成する琉球石灰岩の地層が隆起し、その上に築かれている。
- 石灰岩の加工は比較的容易だったため、美しい城壁をつくることを可能にした。
……とあります。
なるほどなるほど。
ある意味見たまんまではありますが、琉球列島の日本本土とは異なる風土が大きく影響しているようです。
戦国時代、戦いに備えて建てられた……たとえば、名古屋城や姫路城みたいな名城と見比べてみれば全然違いますもんね。
同じ「城」でも、見た目から「シロ」と「グスク」の違いを言い表せそうです。
では、そもそもなぜ琉球列島にグスクが多く建てられているのか。
この理由には諸説あるそうですが、グスクが果たしてきた役割を見れば、なんとなくイメージできそうです。
③グスクが果たしてきた役割
- 按司(あじ=地方豪族の首長やその家族の称号)の居城として築かれた
- 聖域(御嶽)や墓所として築かれた
- 集落として築かれた
……こうして
“聖地、拝所、墓所あるいはこれらを含んだ防御集落がやがて発展し、城壁で囲い城塞化された按司や王の居所となり、さらに倉庫や砲台など特定の目的に特化したグスクへと展開していく流れである。”
と書かれています。
時間の流れとともに多様化していったことがうかがえますね。
ただ、その多様性に富んだ発展を遂げたためか、現代においてはグスクについて説明するのが難しくなってしまって気もします。
「グスクって何ですか?」と聞かれても一言では説明できそうにありません。笑
南城市にはグスクが多い
そして、当ヴィラのある南城市。
繰り返しますが、特にグスクが多いです。
そもそもグスクは、沖縄本島を中心に、奄美群島(鹿児島県)から八重山諸島にかけて広く存在しており、中でも沖縄本島南部にその数が集中してるとのこと。
南城市のある沖縄県南部は、北部に比べて2.5倍もの数のグスクが分布していることが分かっています。
これは、
- 沖縄県北部は標高の高い山地が目立つことに対し、南部は概ね標高の低い丘陵地となっていること
- 南部のほうがグスクの建立に使用される琉球石灰岩が多く得られること
……から、よりグスクの立地に適していたのではないかと考えられています。
南城市には、沖縄本島最高の聖地として名高い斎場御嶽(世界遺産)や浜川御嶽もありますし、琉球の始祖“アマミキヨ”が降臨したと伝えられる久高島もあります。
どこか神々しいすら雰囲気すらただよう地域ですから、その周辺に多数のグスクが見られるのも必然のような気がしますね。
何か人々を引き付ける力があるのかも知れません。
グスクの規模も大小さまざまで、玉城城跡(玉城グスク)や知念グスクといった今なお存在感の大きなグスクもあれば、おそらく滅多に人が訪れないようなどこか寂しげなグスクもあります。
まとめ「リトリート×グスクめぐり」
さて、いち貸別荘のスタッフである私が、ここまで長々とグスクについて述べてきたのには理由があります。
当ヴィラのコンセプトである「リトリート考え方」と「南城市のグスク」がすごくよく馴染む気がしてならないのです。
斎場御嶽ほどの著名な聖地であれば、言わずもがなパワースポットです。
もちろんリトリートにも向いているでしょう。
ですが、各所に点在するグスクには、どこか「人々の営みのあと」のようなものが色濃く感じられるんです。
もちろん、グスクの中に拝所や御嶽も存在しますが、グスクには「聖地」という意味だけでなく「居城」や「集落」の意味合いもあったわけです。「人々の営みのあと」が感じられるのは、当然と言えば当然ですね。
中には自然とほぼ同化してしまったようなグスクもありますが、そんなグスクにも、かつては人々が集い、築き上げられた歴史が隠れているわけです。
そうしたところに思いを馳せつつ、グスクの空気感に触れるだけでも、五感を刺激されるはず。
南城市にはたくさんのグスクがありますから、ぜひグスクめぐりをオススメしたいところです。
「リトリート×グスクめぐり」という手段があっても良いのではないでしょうか!